中高年期の障害・外傷Ⅰ
1.加齢にともなう退行変性とスポーツの効用
①骨
骨はつねに形成と吸収を繰り返しながら骨量のバランスを調整していますが、男女とも中年を過ぎてから骨量の減少がはじまります。
(男性より女性のほうがタイミング的には早くはじまります)
とくに女性は閉経後骨形成の衰えは著しく、骨密度は低下し骨がもろくなります。骨量が病的に減少したものを骨粗鬆症と呼びますが、中高年の骨折には骨粗鬆症を基盤として起こるものも多いようです。
適度な運動は骨密度の低下を和らげ、骨を丈夫にします。これは高齢者でも効果が期待できます。ましてや青壮年期からの運動習慣は効果を増大させますよ。
②関節
関節は関節軟骨に覆われた骨の端どうしが相対し、骨膜より分泌された滑液を介して滑らかな動きを可能としています。加齢にともない
軟骨は徐々に変性し摩耗してきます。中高年者におけるこの典型例が変形性関節症であり、関節の痛み・腫れ(関節水腫)・可動域制限を訴え、関節の変化(骨棘の形成・関節裂隙の狭小化など)が認められるようになります。
適度な運動は関節に刺激を与え、関節軟骨への栄養や老廃物の吸収・排泄につながる。また関節可動域や関節周囲の筋力・柔軟性を
維持・増大させる。不要な体重増加を抑えることにもつながるので
相対的に関節の加齢変化を抑制すると考えられます。
③筋・腱
骨格筋は加齢により委縮します。筋線維の委縮では速筋のほうが遅筋より選択的な委縮が著しいです。また運動神経と筋をつなぐ運動終板や支配運動ニューロンの変性などで速筋の選択的な減少も生じます。このため筋力・筋収縮速度の低下、興奮筋線維の減少が起こり
筋仕事量の減少から疲労しやすくなります。
腱組織では加齢により弾性力に関与するエラスチンが減少し、強度に関与するコラーゲンの密度が増加します。あわせて腱への血液供給が減少し、弾力性の低下が起こります。
適度な運動は骨格筋の委縮を軽減させ筋機能や筋代謝能力を向上させ得ます。ましてや筋・腱・靭帯・関節包などの伸展性や強度の減弱をも抑制します。
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